この度、僭越ながら、ビギナー用のハープブックを作りました。
きっかけは、7年あまり少しずつ作りためてきたWS用の膨大なハープ譜面(の一部)を、使い易いように冊子にまとめたいと思ったからでした。
最初は手間をかけずに、譜面をまとめただけの簡単でシンプルなものにするつもりだったのですが、表紙のイラストをいつもhatao&namiでお世話になっているLand Watanabeさんに依頼したら、想像以上に素敵な作品が届いて✨わわ、これはちゃんとした内容にしなくては!と心が引き締まり、一から内容を練り直したのでした。。。
(というワケで、一般向けの販売も行うことにしました。)
今までの経験から、楽譜が読めないからと躊躇しながらも人生の相方としてハープを手に取られる方が沢山おられることを感じています。
ここではアイルランド、スコットランド、イングランド、北欧、そして日本の親しみやすい伝統曲を題材に、まず運指とコードを覚えることに特化した内容とし、コードの基礎知識、エクササイズ、それぞれの曲紹介や豆知識なども含んだ、全57頁となりました。
耳から曲を覚えて自由に演奏する伝統的なハープのスタイルの基礎、入り口になればと考えています。
もし購入してみたいという方がいらっしゃいましたら、メッセンジャーやメール等でご連絡いただければ嬉しいです。
(価格は 税込3300円 送料無料となります)
詳細のページは下記です。
http://namiuehara.com/celticharpbook2.htm
また指導をされている先生方にはよろしければ内容をご覧頂きたく、一冊送らせていただきますので(無料)是非ご一報ください。
注)あくまでビギナー向けの本ですので、それ以上の方はご購入されませぬよう。。。。😅
さてここからは長くなりますが、この本を作るにあたって考えていたことや想いを、改めて書いてみたいと思います。
(教本「はじめに」の内容と一部被ります)
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幼い頃からピアノを弾き始め(←正確には母の熱き想いで始めさせられ)、中学生のころより高名な先生に師事し、いわゆるクラシック街道一直線だった自分の人生が変わったのは、学生時代に出会ったアイルランド音楽がきっかけでした。
当時、日本でもケルト音楽ブームが始まった頃で、CDショップではアイルランド音楽をはじめとしたヨーロッパのワールド音楽たくさん紹介されていました。
このような音楽を、聴くだけでなく自分でも演奏してみたいと思った私は小さな22弦のハープを持って、アイリッシュ・セッションに足を踏み入れ、それから夢中になってあちこちのセッションに通い始めました。
たくさんの奏者が集うセッションの場で曲を覚えながら自由に演奏する伝統音楽のスタイルは、譜面を深く読み解き譜面に忠実に演奏するクラシック音楽とは全く違っており、また、伝統音楽の面白さ以上に、音楽が好きだから演奏しているというみんなの姿が自分にはかなり衝撃的で新鮮でした。
そのころ、たくさんのピアノの生徒を指導していた私は、読譜力をつけるためのレッスンでいつも子どもたちに手を焼いていました。
譜面を読むことに時間がかかり、楽しく弾くどころかまるで苦行のよう。このままでは子どもたちが楽器嫌いになってしまうのでは…と日々悩み、試行錯誤するもなかなか良い方法は見つからず、ついに、10年続けていたピアノ教師の仕事を手放すことにしたのです。(だから、今繋がっているたくさんの素敵なピアノの先生方には、心の底から尊敬しています!)
ところが一方で伝統音楽の世界で自分が1からハープを学びはじめ、演奏活動の中で自由にアレンジし奏でる楽しさを知るにつれ、ある確信を持ちはじめました。それは「耳で感じて奏でる」という非常にシンプルなことの大切さでした。
ヨーロッパの伝統音楽を学ぶ時、譜面を使わずに耳で何度も聴いて真似て覚えるという方法がとられますが、それは音楽を楽しむ上でとても大切なポイントではないかと感じています。
時間をかけて耳で繰り返し聴いて覚えた場合、目の情報で曲を学んだ場合に比べ、メロディーやリズムがしっかり染み込んで体の一部のような感覚になり、いつでもぽいっと頭から取り出して、自由に弾くことができるようになります。
譜面を外して耳を研ぎ澄まし、常に耳が音を探すような習慣をつけると、不思議なことに野生の勘が冴えてきて、次第に即興的な伴奏もつけられるようになります。
好きなメロディーを覚え、それに寄り添った伴奏を心の赴くままに演奏する。心が喜ぶ幸せなひと時です。
(これは、トラッドやクラシック以外の音楽をされている人にとっては当たり前のことかもしれませんが、長年、無意識に楽譜を読む訓練を続けてきた人間にとっては、耳から覚えること、さらにリズムを習得することは、なかなかハードルが高いことではないでしょうか。私の場合、ハープでは耳から覚えられるのになぜかピアノでは譜面からしか覚えられないという謎現象が。長年の習慣とは恐ろしいものです。
しかし子供が産まれた時、子育てが多忙過ぎて練習のたびに譜面を取り出す余裕がなくなってしまい、強制的にとっぱらった結果、記憶できる思考回路に変化しました...笑)
もともと伝統曲というのはメロディーしかありませんから、ハープやピアノなどで奏でる場合には伴奏を自分で考えなくてはならないシーンが多くなり、つい身構えてしまうかもしれません。
でも、自分の頭で考えること・アレンジする自由があること…私はこれはとても大切で、素敵な事だと考えています。
この本で登場するのはシンプルなメロディーと、シンプルなコードと、シンプルな伴奏スタイルの繰り返しです。
何度も繰り返し弾くことで基本の運指、コード進行や和声感を自然に身に付け、音の感覚を養い育てる。
「心から楽しく楽器を弾くこと」が1番の目標だと考えています。
そんな風に楽しく弾いていれば、いつの間にか気分にあった即興を楽しんだり、さらに自分らしいアレンジを創作し、オリジナリティーのある演奏を楽しめるようになると確信しています。
これからハープはじめる皆様に、より音楽を楽しむために活用していただけたら嬉しいです。
※ちなみに、教本2となっているのは「初めの一歩」の1を今後作る予定があるからなのですがいつになるか分からないので、先に急を要していた2を作ったという次第です。